「専修学校」とは、昭和51年1月に創設された学校種であり、学校教育法第124条に定められています。「専修学校」は、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ること」を目的としており、授業時数・教員資格や施設・設備などの一定の基準を満たしている場合に、所轄庁である都道府県の認可を受けて設置されます。
専修学校には、中学校卒業程度の方を対象とした「高等課程(高等専修学校)」、高等学校卒業程度の方を対象とした「専門課程(専門学校)」、これら以外の教育を行う「一般課程」の3つの課程があります。高等専修学校は、高等学校と並ぶ正規の後期中等教育機関として、高等学校の枠に収まらない多様な教育を行っており、現在約400校で約3万4000人が学んでいます(令和3年度学校基本調査より)。
課程名 | 入学資格 | 学校の名称例 |
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高等課程 | 中学卒業者 | 〇〇高等専修学校 〇〇専修学校(専門学校) 高等課程 |
専門課程 | 高等学校卒業者 | 〇〇 専門学校 〇〇専修学校 専門課程 |
一般課程 | 学歴・年齢等問わず | 〇〇専修学校 |
固性を尊重した教育の大切さが叫ばれるなかにあって、多様化する生徒のニーズに柔軟に応えることができる学校です。社会的にも高等学校と並ぶ後期中等教育機関として重要な役割を果たしています。
一定の要件を満たした高等専修学校を卒業することで、高等学校を卒業しなくても、高等学校の卒業生と同等以上の学力があると認められ、大学への入学資格を得ることができます(学校教育法第90条、学校教育法施行規則第150条)。卒業することで大学入学資格を得られる高等専修学校を「大学入学資格付与指定校」と呼びます。具体的には、以下が指定校の条件となります。
これらの条件を満たした文部科学大臣に指定された高等専修学校を卒業することで、高等学校の卒業生と同様に大学や短期大学に進学することができます。
技能連携制度とは、高等学校の通信制または定時制の課程に在籍する生徒が、各都道府県教育委員会の指定する技能教育施設で教育を受けている場合、その教育施設における学習を在籍高等学校における教科の一部の履修とみなす制度を指します(学校教育法第55条)。
技能教育施設として指定を受けることができるのは、修業年限1年以上で年間指導時間数が680時間以上、教員の一定規模以上が高等学校教諭の免許状を有することなどの基準を満たす教育施設です。技能教育施設の指定を受けた高等専修学校と高等学校の両方に在籍し、カリキュラムを同時に学び、双方の課程を修了した場合は、高等専修学校の卒業資格とともに連携先の高等学校の卒業資格を得ることができます。
修業年限3年以上の高等課程のうち、文部科学大臣が指定する課程を修了すると、大学受験資格が与えられます。その他の進学についても高等学校卒業者と同等の扱いです。
※本校は大学入学付与指定校です。
人事院規則により3年制高等専修学校卒業者は高校卒業者と同等と定められており、企業への就職、国家公務員受験資 格、初任給等においても同等の基準が適用されます。もちろん通学定期券の学割、各種奨学金等も高校生と同様に適用 されます。
本校に入学すると同時に、東京都にある科学技術学園高等学校(広域通信制高校)にも入学します。教科ごとに指定されたレポート(添削指導)を行い、スクーリング(面接指導)を受けることで、高等学校普通科の卒業を同時に目指します。
「技能連携」という国の制度を利用して、本校での専門科目の授業の一部を高等学校の単位として認定する事が出来ます。これにより学習の二重負担が最小限に抑えられています。
また、本校は技能教育施設として沖縄県の認可を受けていますので、スクーリングや試験も本校で行うことができます。
国による経済的な支援制度の一つとして、「高等学校等就学支援金制度」が挙げられます。この制度は、高等学校等において後期中等教育を受ける所得等の要件を満たす生徒に対して、授業料を支援するものです。
高等学校だけではなく、高等専修学校に通う生徒もこの支援制度の対象として、支援を受けることができます。
修業年限や授業時間数、大学入学資格付与の有無等を問わず、すべての高等専修学校が対象となり、保護者等の年収に応じて支援を受けることができます。また、低所得世帯の場合、授業料以外の教育費(教科書費や教材費など)を支援する返済不要の「高校生等奨学給付金制度」を受けることができます。
さらに、都道府県においても、高等学校等就学支援金制度と連動するものも含めて、各自でさまざまな経済的支援制度を設けています。
区分※1 | 生活保護世帯、住民税の所得割が非課税の世帯 | 道府県民税・市町村民税所得割額の合計額が25万7500円未満の世帯 | 道府県民税・市町村民税所得割額の合計額が50万7000円未満の世帯 |
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年収の目安 | 約270万円未満 | 約270万円~約590万円未満 | 約590万円~約910万円未満 |
高等学校等就学支援金 支給上限額(年額) |
39万6000円※2 | 39万6000円※2 | 11万8800円 |
奨学給付金支給額 (年額) |
約3~14万円 (世帯状況等により変動) |
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※1:令和2年7月支給分以降、高等学校等就学支援金の判定基準が変更となり、下記の計算式により所得の区分の判定を行います。
「市町村県民税の課税標準額×6% - 市町村民税の調整控除の額」(政令指定都市の場合は、「調整控除の額」に3/4を乗じて計算します。)
上記による算出額が15万4500円未満の世帯は39万6000円、算出額が30万4200円未満の世帯は11万8800円が支給上限額となります。
※2:通信制課程の場合は、29万7000円が支給上限額となります。
高等専修学校では、生徒のさまざまな個性を踏まえた教育が行われています。生徒一人ひとりの能力や特徴を先生がしっかりと見極めたうえで、少人数クラスでの個別指導や、学習指導要領に縛られない自由なカリキュラムを実施することで、社会で生きていくための一般教養や就職につながるスキルを、個々の生徒に応じた形で身に付けさせることができます。
また、支援が必要な生徒を広く受け入れる高等専修学校も多数あり、インクルーシブ教育や就労支援を通して、自立した生活のためのサポートを行っています。
平成29年度 全国高等専修学校協会「高等専修学校の実態に関するアンケート調査報告書」より、「発達障がい及び身体障がいのある生徒」(全国高等専修学校協会会員校196校に調査票を郵送。109校より回答)
発達障がいのある生徒と健常な生徒が学校生活をともにする「インクルーシブ教育(混合教育)」は、現在の教育界で注目されています。高等専修学校の中には、「インクルーシブ教育」を取り入れている学校があります。発達障がいのある生徒はこのような環境下で多くの友人をつくり、一般社会での生活に近い経験を積むことができます。一緒に学ぶ健常な生徒にとっても、発達障がいのある生徒たちが生きる勇気を与えてくれる存在となっています。