Blog 学校記録

  1. ★保護者インタビュー

★保護者インタビュー

本校には、さまざまな背景や想いをもって入学してくる生徒たちがいます。
今回は、その中の一人を見守ってきた保護者の方にお話を伺いました。
普段の「学校の様子」とは少し違う記事となりますが、ご一読いただければ幸いです。


生徒保護者
「きっかけは、たった一歩の勇気でした」


  
■入学を決めたキッカケ
正直に申しますと、他に選択肢が見つからなかったというのが最初の理由でした。
他校のパンフレットを見ても本人が興味を示さず、なかなか動き出せない日々が続く中で、本校の先生と面談する機会があり、そこで何か安心できるものを感じたようで、初めて前向きな反応が返ってきました。

■入学前の不安について
一番の不安は、「本当に通えるのか」ということです。
それまでは外出もままならない状況でしたが、入学式にきちんと出席し、新入生挨拶までした時は本当に驚きました。

■入学後の変化
あれからほぼ毎日登校していることが何よりも大きな成長だと思います。外に出る機会も増え、散歩に出たり、友達に連絡して会ったりするようになりました。
学校の授業についても「楽しい」と感じることが多いようで、特に苦手だった数学を「面白かった」と話していた事が凄く印象に残っています。
また、数年近寄ることもできなかった場所にも自らの意思で出向くことができた時は、息子の中で過去に一区切り付けられたんだと感じました。

■学校の教育方針について
授業に関しては、「やらされている」のではなく、本人自身が興味を持って取り組んでいるのが伝わります。
専門科目の授業に関しても、今までやってこなかった・知らなかった事ですから、教えようによっては嫌いになったかもしれない事も、息子の興味を引き出してくれるおかげで楽しみながら授業をし、常に「一緒に取り組む感覚」を大切にしてくださる先生方に感謝しています。
どの教科も先生方の関わり方ひとつで変わるんだと実感しています。
教育方針として「一人も独りにしない」と掲げてくださっているように生徒だけでなく、保護者である私に対しても支えになって頂けていることが、とてもありがたく思います。



■保護者へのサポート体制
息子がうまく行かない時期は、私もとても孤独でした。
毎日色んな事が起こり、どうしたらいいか分からず様々な勉強会などにも参加していましたが、私だけがちょっとした知識を得るだけで何の解決策にもならず葛藤の日々でした。
ここでは月に一回、「保護者定例会」として先生方と直接お話しをする機会がありますが、これが本当に心の安心材料となっています。
本人の様子を共有できるだけでなく、自宅で何か不安要素が出てきても、来月の保護者会でちょっとお話聞いてもらおうとか、保護者である私の気持ちも受け止めてもらえる安心感があり、不安や葛藤をひとりで抱え込まずにすむようになりました。

■学校のイベントや行事について
昨年度は多くのイベントを企画してくださいました。
正直なところ、きちんと参加できるのかギリギリのタイミングまで不安はありましたが、すべて参加することができ、終わってからは「楽しかった、行ってよかった」と感想を聞くことができ、嬉しく思っています。
映像の授業では、映画撮影をしたことも印象に残っています。
普段の息子からは、セリフを覚え演技をするなんて、想像ができないことでした。
また、県外学習では連携校である科学技術学園高等学校で授業を受けたり、自分で考えた個人課題など、とても楽しく充実したものであったと本人からも写真からも感じることができました。
しかし、その中でも一番印象に残っているのは、系列校の皆さんとの宿泊学習かと思います。
一緒に山を登り、食事を作り、一泊して翌日にはミニ運動会。
みんなで何かをするということが嫌いじゃないので、とても楽しかったんだと思います。
普段からの運動不足もあり、翌日からはひどい筋肉痛になっていましたが、これも含めてとても良い思い出になったと思います。
 


■最後に
何がきっかけで学校が嫌いになったのか分かりませんが、こちらの学校に入学してから間もない頃に、「何でも褒めてくれる、学校に来ただけで褒めてくれる、何かひとつできただけで褒めてくれるんだ」と言っていたのを思い出します。
初めは、そんなのおかしいと思っていたようですが、そういったことの積み重ねで、少しずつ自信がついていったのだと思います。
最近も「以前はなんであんなに怒っていたんだろう」「どうしてあんなに頭にきたのか分からない」と呟いていました。
息子からすると、たくさんの生徒や先生がいる中で、なかなかうまくいかず、でも無理をしながらもその場に居続けようと頑張っていたんだと思います。
でも環境を変えて一歩を踏み出すと、こういう世界があるんだ、こういう人達もいるんだ、自分はこんなでもいいんだって気づけたのだと思います。
自分の持つ選択肢や視点を知らなかっただけで、今は少しずつ見えるようになってきたのだと感じます。
環境を変えるには大きな決断が必要ですが、そのたった一歩の勇気で、見える世界が大きく変わりました。
本人にとっても、そして私たち家族にとっても、「居場所」があることの意味を心から実感しています。
もちろん、まだすべてが順調というわけではなく、安心しきっているわけでもありませんが、もがき苦しんでいた時とはとても大きく変化した一年となりました。
私としても、一歩ずつじゃなく半歩、三歩進んで二歩下がるものだと思っていても、少しだけ欲張った目標を作りたくなってしまいます。
あと数年先、そして将来自分の力で歩いていけるように、先生方にもお力を借りたいと思います。
こうした場所があるということを、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。
この学校に出会えて、本当に良かったと心から思います。

最終更新日:2025年06月26日

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